矯正治療を検討している方の中には、「矯正中に感じる痛みはどれくらいだろう」と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、マウスピース矯正で痛みを感じるケースや痛みを感じた場合の対処法について解説します。
Contents
マウスピース矯正で痛みを感じるケース5選
ここでは、マウスピース矯正において痛みを感じる具体的なケースを5つ紹介します。
マウスピースの初装着時・交換時
初めてマウスピースを装着した際や新たなマウスピースへと交換する際には、普段以上に歯に圧力が加わることとなるため、圧迫感や違和感、痛みを感じることがあります。
しかし、装着による違和感や痛みは一時的なものであり、体が少しずつ慣れていき解消されることが多いです。
矯正経験者の中には、マウスピース矯正をはじめとした矯正治療による歯の移動が、今までに経験したことのない種類の痛みだったと語る方もいます。
矯正治療による痛みで不安や後悔を感じてしまうこともあるかと思いますが、痛みに慣れるまでは鎮痛剤などを活用しながら耐えるようにしましょう。
マウスピースの着脱時
マウスピース矯正は、原則として常にマウスピースを装着することが求められますが、食事と歯磨きの際にはマウスピースを取り外す必要があります。
矯正治療を開始して間もない頃は、マウスピースの着脱に不慣れであることもあり、着脱時に痛みを伴うことがあります。
また、マウスピース矯正ではアタッチメントと呼ばれる装置を歯の表面に付けることもあります。
アタッチメントは歯を動かすために必要となる装置ですが、着脱の際にマウスピースがアタッチメントに引っかかってしまい、痛みを感じる方もいます。
矯正によって歯が動いているとき
矯正治療では、矯正装置によって歯が動いている時が最も痛みが生じやすいといわれています。
マウスピース矯正もワイヤー矯正も歯を動かすための原理は同じであり、歯に一定の圧力を加えることで、歯の土台となっている歯槽骨の変形を促し、歯を移動させていきます。
歯は歯槽骨で支えられ、さらには歯の根の周りが歯根膜で覆われています。そして、歯に力が加えられると動かした方向の歯根膜は縮み、一方は伸びることとなります。
矯正中には上記の作用が生じますが、歯根膜は元の状態に戻ろうとする性質上、縮んだ部分の骨の破壊と、伸びた方に新たな骨の形成が行われます。
この際に痛みが生じやすく、ピークは痛みが生じてから約3日目とされています。ピークを越えてからは痛みは徐々に治まっていくでしょう。
歯と歯の間に隙間を作ったとき
マウスピース矯正では、歯を移動させるための可動スペースを確保するためにディスキングやIPRと呼ばれる処置を施すことがあります。
この処置では、歯と歯の間に隙間を作ることとなります。
特別な機械を使って歯と歯の間をやすりで研磨するため、研磨中や研磨した後に痛みを感じる方もいます。
マウスピースが歯肉や舌に当たっているとき
マウスピースが歯肉や舌に当たると、粘膜が傷付いてしまい痛みを感じることがあります。
矯正中の舌の位置や動かし方によっては、舌とマウスピースの内面が接触することで痛みを生じることもあります。
マウスピースの縁が歯肉に当たることで痛みが出ている場合には、装着するマウスピースが合っていない可能性があるため、歯科医院で確認してもらうようにしましょう。
マウスピース矯正中に痛みが出た時の対処法
次に、マウスピース矯正中に痛みが生じた場合の対処法について解説します。
矯正治療では、歯の移動による痛みが生じることは仕方ないことであるため、痛みがあったとしても約3日は経過観察を行うのが賢明です。
しかし、痛みが治まらない、痛みが強くなる、症状の改善が図られない、症状の悪化が考えられる場合には、無理をせずに歯科医院へ相談に行くようにしましょう。
ここでは、マウスピース矯正中に痛みが出た時の対処法を解説します。
担当医に相談する
マウスピース装着による痛みに耐えられない、痛みの症状が緩和されない場合などは、無理をせずに歯科医院に相談に行きましょう。
マウスピースが口腔内に接触する物理的な痛み以外にも、口腔内の細菌等が原因となって生じる痛みのケースもあり、自身で原因を特定するのは困難です。
次の予約日まで我慢しようとせず、速やかに医師の診断を仰ぐようにしましょう。
なお、痛みが激しいからといってマウスピースを装着しない生活を送っていると、歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」が起こります。
矯正期間の長期化を招くためにも、初装着の場合を除き、矯正中の方は交換前のマウスピースを装着して後戻りを防止するようにしましょう。
痛み止めを服用する
歯が動くことで生じる痛みに対しては、痛み止めの服用が効果的です。
矯正期間中に歯科医に相談しておけば定期的に処方してもらうことも可能です。また、市販の鎮痛剤でも効果は期待できるため、すぐにでも痛みを抑えたい場合には薬局等で購入する対応もおすすめです。
食事はやわらかいものを選ぶ
マウスピース矯正をしている最中は、固いものを食べることで痛みが生じる場合があります。
痛みがピークを迎える前後の期間は、歯に力を加えずとも食べられる食事を取るようにすると良いでしょう。
なお、固いものばかりを避けた食生活は偏食の原因になることがあるため、固い食材も火を通してやわらかくするといった栄養面でのバランスも考慮しましょう。
矯正期間中の日常的な痛みを緩和するポイント
痛みが生じた場合の対処法に続いて、ここでは普段の生活において痛みを緩和するためのポイントについて解説します。
口腔内ケアを徹底して健康な状態を維持する
口腔内のケアをきちんと行い良好な衛生状態を維持することで、痛みを感じた場合でも緩和するまでの期間を短く済ませられます。
矯正中には口内炎等が起こるケースもあり、口腔内の疾患や歯周病などは痛みを増してしまう原因となります。
日頃の歯磨きはもちろんのこと、フロスや液体歯磨き等を活用して丁寧な口腔内ケアを行うと衛生状態を良好に保てるでしょう。定期的な歯科医師の診察を受けることも推奨します。
マウスピースを適切に管理して衛生状態を良好に保つ
口腔内のケアを徹底することはもちろん、マウスピースも適切に管理を行い衛生状態を良好に保つようにしましょう。
マウスピースは1日に20時間以上の装着が必要となっており、ほとんどの時間を口腔内に装着させることになります。
唾液に含まれる口腔内細菌や食事による食べカスなどがマウスピースに付着し、増殖していくことになるため、マウスピースを装着する前には軽い力で擦りながら水で洗い流すようにしましょう。
食事・睡眠・運動の生活リズムを整える
食事・睡眠・運動を基本にした生活リズムを整えることで全身の回復力が高められ、矯正中の痛みも緩和しやすくなるでしょう。
また、ストレスを感じてしまう生活は痛みに対して過敏な状態を誘引しやすいです。
生活リズムを整えるとともに、定期的なリラクゼーションを行い、ストレスを溜め込むことのない生活を送るようにしましょう。
たとえ痛みが出てもしてはいけない矯正期間中のNG行動
マウスピース矯正中に痛みが出るのは仕方ないことでもあるため、痛みを抑える対処法を実践することが重要です。
また、たとえ痛みが生じたとしても以下に挙げる行動は行わないようにしましょう。矯正期間を長引かせたり、痛みを増幅させる原因となることがあります。
- マウスピースを長時間外す、矯正に必要とされるだけの装着時間を確保しない
- 刺激を加える
- 冷やす
- 温める
- 過度に鎮痛剤を服用する
痛みが生じるとマウスピースを外したくなってしまいますが、十分な時間マウスピースを装着しないと矯正が進まなくなってしまいます。
痛みは歯の移動が原因であるケースが多く、歯が元の状態に戻ろうとする作用を防ぐためにも、装着を断念するのではなく、交換前のマウスピースを装着するなどで対処しましょう。
また、痛みを感じる部分への刺激や温冷療法は、痛みを増幅させたり、歯の移動を停滞させる原因となるため、安静を第一に回復を図ることを推奨します。
鎮痛剤によって痛みが緩和できるのは確かですが、過度に頼りすぎると体が慣れてしまい十分な鎮痛効果を得られなくなってしまいます。
どの程度の痛みに達したら鎮痛剤に頼るのかは、自身の中で基準を持つようにしておきましょう。
まとめ
マウスピース矯正で痛みを感じやすいケース、痛みが生じた場合の対処法など、マウスピース矯正と痛みに関して解説していきました。
マウスピース矯正をはじめ、矯正治療は多少の痛みを伴う治療となるため、快適な矯正治療を進めるうえで本コラムを役立てていただけますと幸いです。
栃木県宇都宮市にクリニックを構える「つぶら矯正歯科クリニック」は、開業から20周年を迎える矯正治療を専門とする歯科クリニックです。
本院は「通院することを楽しく思えるワクワクいっぱいの医院づくり」を掲げ、矯正歯科専門医として患者様が安心できる技術を提供するだけでなく、矯正治療に対する不安を払拭できる空間づくりを心掛けています。
患者様が快適に矯正治療を進められる環境を用意していますので、矯正治療に関心のある方は、ぜひカウンセリングから気軽に足をお運びください。